COMO×GOMO / こもごも
* オンサイト(神奈川・鎌倉 @NIHO kamakura)+ オンライン ハイブリッド開催!
訪日外客数が過去最高を記録するなかで、地域コミュニティと観光客の関係は「対立構造」として語られることが増えつつあります。しかし観光と暮らしが分断されてしまうと、観光客は単なる「消費者」となってしまい、地域との持続的な関係を築くことはおろか、お互いの理解や交流も進みにくくなります。
今回のこもごもサロンは「旅 × 観光」をテーマに、世界・日本中から多くの観光客が訪れる神奈川県鎌倉市での開催!
旅と観光、旅人と住民、といった視点の対比を手がかりに、「旅」と「暮らし」がゆるやかに交わるきっかけ、そこから見えるモビリティの景色についてグループ・ディスカッションを交えながら議論しました。



【ゲストスピーカー】
河野 有さま(株式会社羅針盤 取締役トラベル事業本部長 ):
大学在学中はボクシング部で主将を務める。卒業後、株式会社電通にて新聞局に所属。8年間の在職中に新聞社の資産活用による新規事業・キャンペーンを企画・実施。退職後、1年間の世界一周を経て2014年に株式会社ノットワールドを創業。オプショナルツアー事業や地域のコンサルティング事業を立ち上げ、推進。合併により2023年4月より現職。全国通訳案内士、総合旅行業務取扱管理者。
高浜 拓也さま(NIHO kamakura オーナー / パナソニック株式会社):
大阪生まれ。大学では経済学を学び、卒業後はパナソニックの研究開発部門に所属し、市街地向けの配送ロボット事業の立ち上げなどに取り組んだのち、大学時代からのシェアハウス暮らしにヒントを得て、街の中にリビングを作って街の人々がシェアして使う、"シェアリビング"という業態を構想して新規事業として起案。現在は1拠点目として鎌倉にスペースを作って運営に取り組む。



ディスカッションポイント
観光地で起きている「分断」
● 京都・鎌倉などで、住民えが観光地エリアに近づかなくなっている現象
● 観光公害(混雑・マナー・騒音)による住民の生活負荷
● 観光客と地域の生活者が空間的にも心理的にも分断されつつある
デジタル時代が変えた旅:偶然の喪失と情報偏在
● 経路検索で「最短ルート」以外を歩かなくなったのでは?
● かつて体験したローカルな鉄道路線での住民との会話や、ふとした寄り道が減った
● 旅が“移動”ではなく“点と点”の移動へ収縮
情報源の偏りが生む混雑
● アプリのランキングで店舗に行列ができる、国や世代での情報文化の違いが人々の行動の違いに現れている
● 巨大プラットフォームの影響力が圧倒的で、自治体が対抗しづらい構造
● 経路検索で「最短ルート」以外を歩かなくなったのでは?
● かつて体験したローカルな鉄道路線での住民との会話や、ふとした寄り道が減った
● 旅が“移動”ではなく“点と点”の移動へ収縮
五感考えるから旅とまち
● 近年の建物は気密性が高く、生活の「匂い・音・光」が外に漏れにくい
● 市場やレストランの匂い、提灯の灯りや、楽しそうな声が外へ溢れる「まち」は旅人を自然に引き寄せる
● 観光の語源「国の光を見る」=土地の魅力(光)をどう感じてもらうか
交流が生む価値と可能性
● 提灯の灯りや、楽しそうな声が外へ溢れる「まち」は旅人を自然に引き寄せる祭礼や商店街イベントなど、「混ざる場」では言語が通じなくても深い交流が生まれる
● 観光客に積極的に話しかける“おせっかい”住民は、双方にとってプラスになるのでは?
● 地域住民が楽しんでいる場所は、観光客も“住民のように”楽しみやすい
● 空港・駅といった、まちの“入口”で、地域が推したい場所へ誘導する仕掛けが有効の可能性
地域 × 交通 × 旅人の接点づくり
● 旅人を一時的な住民としてその地域で滞在することで、「このまちを守りたい」などの当事者意識を持ってもらうには?
● 表面的な“消費される観光”から、地域の人との交流や五感の体験を通じた「旅」へとシフトする必要
ガイドの担い手と地域の資源
● 地域を支える観光ガイドを構成する3つの担い手層:
1) 40–50代女性(子育て後の時間を活かした活動)
2) 50–60代男性:第二キャリアとしてのガイド
3) 若者:高時給アルバイトとしての関わり
● 定年後サラリーマンの元管理職など、地域での“居場所”を失いがちな層をガイドに活かせる
● 旅行者も地域住民も「どうやって出会うか」が見えていない:口コミ頼りから脱却する、新しい導線が必要
観光×交通×行政
● 複数の自治体にまたがる観光地にもかかわらず、統一した観光戦略の共有が難しい。
● コロナ禍を契機に公共交通の共通パスなどの“連携施策”が縮小し、観光客の分散や誘導が難しくなった
● 交通事業者が自治体の枠を超えた“調整役”となり、広域での観光・交通マネジメントをリードする可能性
● 広域DMOのような組織を設置し、複数自治体・交通事業者・観光事業者の連携基盤を整備する視点
観光における移動ニーズと交通政策の視点
● 「速さ」と「遅さ」は両立する:空港→市街地は“速く移動したい”、市街地内は“ゆっくり回りたい”、その両立ができている地域はまだ少ない
● 「速い」移動は効率を高める一方で、グリーンスローモビリティや自転車で得られる「遅い」移動は体験価値を高める
● コペンハーゲンの自転車インフラは、街全体の“ホスピタリティ”の形が具現したものでは?
子ども時代・家族旅行が旅の志向をつくる
● 旅への関心:親が旅好きかどうか、旅行でどんな体験をしたか、旅で得た“初めての成功体験”が価値観に影響
● 修学旅行の構造的問題:旅行会社の提案内容で体験の質が大きく変わり、子どもが旅の“楽しさ”に触れられないケースも多い
● パスポート保有率が低下する中で、国際経験が減ると、旅そのものへの関心も下がり、日本人の旅行市場にも影響
インバウンド偏重のリスクと混ざり合う「場」の必要性
● 外国人観光客は浅草・ゴールデン街などの“王道スポット”を訪れがちであり、日本人が日常的に利用しにくくなり、空間の分離が進んでいる
● 観光が「外国人中心化」し、日本人の参加が減る構造に合わせて・事業者がインバウンドに寄りすぎると、地域コミュニティが薄まる可能性
● 観光客と地域住民が自然に交流できる“混ざり合いの場”として、 地域住民や観光客の双方が参加したくなるツアーを提供する必要 (例:平日夜のディナー会(共食)等)
● 「ローカル/ローカル以外」で料金を分ける二重価格等、観光客が地元に貢献する仕組みを構築(リジェネラティブ・ツーリズム:再生型観光)
● 鎌倉などには、引退後で時間や知識に余裕があり、海外経験のある住民が多く、この層をホスト(有償)として活用し、地域の文化や背景を紹介してもらうような、地域と観光客をつなぐ“媒介者”の存在が重要
まとめ: 今後の「旅 × 観光」 に向けて
● 観光客と地域住民の「自然な混ざり合い」をどう設計するか
● 五感体験や“外にこぼれる生活感”をどう事業化するか
● インバウンド偏重を避けつつ観光と地域経済を成立させる方法とは
● アプリ等のプラットフォーム依存の情報環境をどう乗り越えるか
● 地元住民と観光客が混ざる「場」としてのツアーの具体化と持続可能なビジネスモデル
当日の流れ
〇 13:00-13:10:受付(現地参加@NIHO kamakura+ Zoom参加)
〇 13:10-13:20:挨拶・流れの説明
〇 13:20-13:30:ライトニングトーク(COMO×GOMO 共同主宰 津村 優磨)
〇 13:30-14:10:インスピレーショントーク
・河野 有さま(株式会社羅針盤 取締役トラベル事業本部長 )
・高浜 拓也さま(NIHO kamakura オーナー / パナソニック株式会社)
〇 14:10-14:20:中休憩
〇 14:20-14:35:参加者の自己紹介
〇 14:35-14:50:グループ・ディスカッション(オンサイトのみ)
〇 14:50-15:45:フリーディスカッション
〇 15:45-16:00:振り返り・お知らせ
〇 16:00-17:00:交流会@NIHO Kamakura